中年フリーターとは
中年フリーターという言葉を、テレビや雑誌などで目にしたことがある人は多いでしょう。
非正規雇用で働く35歳〜54歳の人を指し、超就職難の時代に社会へと出た就職氷河期世代とも言います。
家庭に入った女性が非正規雇用で働くのならばあり得る話ですが、男性がこの状態であるため、問題視されています。
40歳前後の男性の約10%が、非正規雇用であるというのですから、驚きです。
しかも、中年フリーターは増加の一途にあるのですから、かなり身近な存在であるとも言えます。
中年フリーターが増えた原因
では、どうしてここまで中年フリーターが増えてしまったのでしょうか?
先にも述べた超就職難の時代に、新卒時に正社員として働くことができずに、非正規の職に就いたためです。
一度非正規として働き出すと、それ以降に正社員の職を得ることが難しくなり、以降も非正規のまま働き続けています。
非正規だと誰でもできるような仕事を任されることが多くなり、働いて経験を重ねてもスキルが身に付かない、または非正規であるがゆえにスキルが身に付いてもそれを評価される仕組みがないなどが原因と考えられています。
更に当時は、仕事を選り好みしすぎているとか、フリーターは甘えであるなどの論調があり、非正規で働くことを自身の問題として捉えていました。
しかし、非正規で働き出した若者が徐々に歳を重ね、中年と呼ばれるような年齢になった今、ようやくその問題の大きさに気づいてきました。
景気が回復してきても、中年フリーターが正社員として働く機会がありません。
それは年齢だったり、スキルだったりと、理由は様々です。
中年フリーターの現状
中年フリーターの中には、新卒時には正社員として働き始めた人もいるようです。
ただし、働き方があまりにひどかったために退職したり、会社の業績が悪化してリストラになり、仕方なく非正規として働き始めるというケースもあるようです。
そして中年フリーターの働き方としては、アルバイトをいくつも掛け持ちする、一つの仕事場で継続して働いている人、日雇いで働いているなど、色々あるようです。
共通点としては、正社員ではなく安い時給/月給で、将来の見通しが不透明であることです。
日給が1万円に届かないことは珍しくなく、社会保険にも加入できないことがほとんどです。
もちろん貯金なんてできておらず、その日の暮らしで精一杯なので、働けなくなった老後に国民年金と国民健康保険では、かなり生活は不安定になるでしょう。
なぜ抜けださなかったのか?
このような現状を踏まえると、なぜもっと若いうちに非正規から抜けださなかったのかと疑問に思うことでしょう。
若いうちは、正規雇用された人よりも非正規雇用の人の方が、手取りが多いということはよくあります。
学生時代の同級生と再会して給料の話になると、非正規である自分の方が多く、正規雇用なんて大したことがないと思ってしまったのでしょう。
自分の頑張り次第で非正規雇用でも、正規雇用に勝てると誤解したのが、大きな誤りです。
確かに手取りは少ないかもしれませんが、正規雇用はその分福利厚生や社会保険など、目に見えない手当が大きいのです。
それを誤解し、自分は非正規雇用でも頑張れば正規雇用に負けない、希望が持てると勘違いしてしまい、ずるずると非正規雇用を続けてしまったと考えられています。
今後の課題
中年フリーターは何とか働き続けることができる今の年齢ならば、まだ社会としては問題が表面化していません。
これがあと20年後になると、隠れていた問題が一気に表面化してきます。
それは、貯金が全くなく国民年金だけでは暮らすことができず、生活保護の申請を一斉にし出すことが考えられます。
そうなると、現在よりも多くの社会保障費用がかかり、国の財政を圧迫します。
ただでさえ、少子高齢化で税金を納める世代が少なくなる中で、これはどうしても避けたい事象ですが、避けられそうになりのが実情です。
中年フリーターの対策
企業はを正社員として雇おうとした場合に、履歴者や面接などでその人のこれまでの経歴を把握した上で、自社の業務に適合できるか判断します。
中年フリーターにとっては、履歴書の審査がかなり高いハードルとなります。
正社員としての経歴があっても短かかったり、非正規の仕事ばかりでは、企業からの評価はどうしても低くなります。
実際はかなり高いスキルがあり、即戦力として働ける可能性があったとしても、それを入社前の段階で見抜くのは困難です。
これを打破すべく、企業にはトライアル採用という制度を設けることを提唱する声が多いようである。
まずは非正規として働き、そのスキルに応じて正社員として雇用し直すということです。
または、その企業内で職業訓練をして必要なスキルを身に付けた場合に、正社員として契約するなど、中年フリーターを受け入れる体制を設けることも一つの案です。
このような制度を企業だけでなく、行政と一緒に進めていくことが急務です。