ビジネスマンのスーツ離れって本当?

スーツ離れの現状

金融業界と言えば、かなりお堅いイメージがありますよね。
女性は制服を着て、男性はきっちりとスーツを着て業務をしているのが、これまでの当たり前でした。
そんな金融業界の中でも大手である、三井住友銀行の本店で働く人が、スーツを着なくても良いというニュースが流れ、かなり驚いた人がいました。
新しい試みを褒める人もいれば、銀行なのにラフな服装で接客することが許せないという意見の人もいて、意見は様々でした。
三井住友銀行では、夏限定でTシャツにジーンズ勤務が認められ、このニュースに伴い、スーツに注目が集まっています。
大手紳士服チェーン4社は、いずれも苦戦が続いている状態です。
減収減益で、営業利益も大幅に減っているのが、各社の決算書から読み取れます。
ただでさえ、夏場のクールビズ導入によってカジュアル化が進んでいる中で、三井住友銀行のような事例が続けば、更にスーツ離れが進みそうです。

スーツ着用の状況

これまで日本で最も多かった団塊世代が退職することで、スーツ着用人口が減るのは明らかでした。
しかし、団塊世代にスーツではなくカジュアルウェアやホームウェアを販売するなど、工夫を凝らしてきました。
それでも主力であるスーツに関する売り上げは落ち込んでおり、営業損失が出てもおかしくないようです。
そして、産業構造の変化も、スーツに大きく影響しています。
大企業ではオフィスにおいては、カジュアル化がどんどん進んでいます。
スーツでなくてはダメということはなく、ジャケットとパンツを組み合わせたスタイルや、スニーカースタイルを取り入れており、機能性を重視しています。
日本の大企業でそれなのですから、外資系の企業やベンチャー企業などでは、もっとカジュアルなスタイルで働くのが当たり前となっています。
中には、一週間の内ある曜日だけはスーツではなくカジュアルな服装で出社することを推奨している企業もあるようです。
いつもと違う服装で仕事に臨むことで、普段とは異なるアイディアが浮かぶのではないか?という新たな試みのようです。
このように、スーツを着用する機会はどんどん減っており、男性が仕事をする上での必須アイテムという位置付けが、揺らいできています。

スーツはどんどん疎遠になるのか

仕事着がどんどんカジュアル化しているのは否定できませんが、だからと言ってスーツが全く必要でないということではありません。
やはり、重要なミーティングや商談、プレゼンの時には、スーツを着るのが一般的です。
ビジネス相手に、真剣度や高感度を伝えるにはスーツが一番です。

そのような背景を受けて、普段はカジュアルな服装で仕事に臨む人が、ここぞという時用に良いスーツを揃えるのがトレンドになっているようです。
大手紳士服チェーンでは手軽な既製品が多く取り扱われていますが、セミオーダーも取り扱っており、そちらは今人気があるようです。
オーダースーツと聞くとかなり高級そうなイメージがして、中々手が出せないというのがちょっと前の常識でした。
今はその常識は古く、既製品とそう変わらない値段で購入できる低価格オーダースーツが増加しています。
このような現状を踏まえると、スーツを着る機会は確かに減ってきていますが、その分1着のスーツにかける金額は増してきそうです。

紳士服メーカのライバル

以前は、スーツを取り扱っているのは紳士服メーカと百貨店というのがほとんどでした。
しかし、今やスーツはかなり多くの場所で購入することができます。
特に紳士服メーカにとってかなり手強い相手であるのが、イオンやヨーカドーなどのスーパーマーケットです。
1着3万円くらいの紳士服メーカのスーツと比べると、スーパーマーケットが取り扱っているのは高くても1万円ちょっとくらいです。
価格という面ではかなりの差がついており、仕事に着ていくスーツにそこまでお金をかけたくないという人には、非常に重宝されています。
また、ユニクロをはじめとするファストファッションもカジュアル用途にも、仕事用にも着ることができるようなパンツとジャケットを分けて販売しています。
普通のスーツと違って着用の機会が広がるため、かなり人気があるようです。
このように、紳士服メーカのライバルは、同業他社だけでなくなっています。

スーツ離れを食い止められるか

紳士服メーカはスーツ離れを食い止めるために、手入れをあまり必要としない自宅で洗えるスーツや、シワにならないスーツなど、機能性を高めてきました。
しかし、スーツ離れが更に進んでいる現在では、機能性を高めることでは厳しいと言わざるを得ません。
レディーススーツやカジュアルウェアに参入してスーツ離れによる売り上げを補填してきましたが、それも限りがあります。
そこで紳士服メーカはスーツだけでなく、アパレル業界以外で売り上げを出すことに今は注力しています。
カラオケやネットカフェなどに手を広げていることから、もうスーツ離れは食い止められないというのがわかります。